第2章 ミケとミケと気になるあの人
「そうだ、この子お風呂ではおとなしくしてた?多分大丈夫だったろうとは思うけど」
ナナバは猫の気を反らそうと、左の茶色い耳をつつきながらカリンに尋ねる。
「うん、とってもお利口さんだったわ。それに、沢山お話ししたのよ。ね?」
んな!
(…風呂?…一緒に入ったのか!?)
(いやしかし、そうなると…まさか、な…)
楽しげな雰囲気の中、ミケは一人何かを考えこむ。
「カリン、その、何を話したんだ?」
「秘密です……」
聞かれると、ほんの少し頬を赤らめ『ね?』と足元の彼へ同意を求める。
んな
うん、とでも言うように鳴くと、甘えるように伸びをしてカリンに抱っこをねだる。
「よしよし…どうしたの?もしかして、もう眠い?」
抱き上げられればこれ幸いと、彼女の胸へと顔を埋める。
むにょむにょ…んなぁ~
そして時々、ミケをチラ見している。
その表情はどことなく挑発的に見えた。
(…こいつ…分かってやってないか!?)
「……猫、お前はこっちだ」
やや渋い顔でミケは猫の襟首を掴み、左腕で抱えなおす。
ぶみゃぶみゃ!
カリンから離され必死に抗議するも、流石にミケの腕は振り解けない。
(あぁ、案の定…分かりやすい反応だ。彼女絡みだとやっぱり子供になるんだよね)
ナナバはうんうん、と無言で頷いている。
腕の中の猫は、『ぶみょぉ…』と不満を隠そうともしない。