第2章 ミケとミケと気になるあの人
楽しそうな輪の中、見慣れない毛の塊。
得意気に絵のモデルをしている、ように見える。
(猫?…いや、まずは)
「カリン、これを」
そう言うと彼女に土産を手渡す。
「ありがとうございます。開けてみてもよいでしょうか?」
「勿論だ。その、気に入ってくれたら嬉しい…」
照れ臭そうなミケと、優しく笑って受け取るカリン。
「可愛い…。ありがとうございます、大事にしますね」
包みの中には、爽やかな若草色のハンカチ。
可愛らしい小花の刺繍が施されている。
(気付いてる、かな?)
ナナバは視線だけで、そっと二人の様子を窺う。
…いつ頃からだったろうか。
カリンにだけだ、形の残るものを用意しているのは。
勿論、ミケが区別などしようはずもない。これはもう無意識に選んでいるのだろう。
きっと、自分を感じてほしい、傍に置いてほしい、と。
(うーん、カリンにはまだ伝わってない、かなぁ…)
軽く首をかしげながら『先は長そうだね』と誰にでもなく呟く。
隣では『つっか、見てるこっちが恥ずかしいんだけどよ…』と同じようにゲルガーが呟いた。