第2章 ミケとミケと気になるあの人
『…お返事してくれるのよ。ね?』
『おぉ、賢い』
『こりゃ有望株か?俺の代わりに仕事『さぼらない』
『よし、似顔絵描いてあげる、こっち向いて~』
賑やかな会話が扉越しに聞こえてくる。
(ようやく、か)
今朝ぶりだ。時間にして半日程度。
普段でもそれだけ会わないなど、さして珍しいことでもない。
(それなのに、こんなにも会いたくなるものなのか…)
ついさっき、落ち着けと言い聞かせたばかりだというのに。
はやる気持ちを抑えつつ、ドアノブに手を掛ければまた聞こえてくる会話。
『ちょっと遅くない?』
『もしかしたら、もうお休みになっているかもしれないわね』
『でも会いたがってたし、来ると思うよ』
『そうなの?よかったね』
『『いや、そっちじゃない…』』
『やっぱり見てきてくれる?』
『ん…それじゃ、ちょっとだけ』
『はーい、よろしくね。この子は任せて』
声を掛けるタイミングをはずしたと思えば、近づいてくる足音に思いがけず引かれた扉。
少し開いたそこからは、彼女が顔を覗かせていた。
「あ…ミケ分隊長、お帰りなさい。今日も一日お疲れ様でした」
ふんわりと微笑み『さ、どうぞ』と扉を開ける。
ミケは煩くなる心臓を感じながら、皆の待つ喧騒の中へと入っていった。