第2章 ミケとミケと気になるあの人
「おぉーい、ミケ~~~?」
「ダメだ、こりゃ戻らねぇ…」
こうなったら、と呟いたナナバは最後の手段に出た。
「お帰り、カリン」
ばっ!!!
勢いよく出入り口に向け振り返る。
しかし、肝心の扉は閉じられたまま。
「やっと戻ってきた。…お帰り?」
「カリン…どこだ…」
あぁ、まったくもう…という風でため息をつけば、軽く咳払いを一つ。
「ミケ、夕食後にまた皆でここに集まるんだ。彼女も来る」
だから、その時に会える。
そう言いたいナナバ。
「そうか…」
ようやっと安心したような顔のミケへ、まずは着替えて、それから食事を取って、何なら風呂でもシャワーでも済ませてここに来なよ。
そう告げれば、うむ、と一言返し部屋を出て行った。
「すごいもん見たな…」
「なんというか、思春期の子を持つ親の気分?」
「自分が父親で、ゲルガーが母親かな」
「いや、それ逆じゃねぇか…?」
そんなやり取りと共に、閉じられた扉を見つめる二人。
『さてさて、あと少し頑張ろうか?』
『は~い、お父さん!』
『いや、だからそれ、俺じゃねぇか?』
扉の向こうには、数メートル先で立ち止まる人影。
「…お父さん?」
どこから出てきたのか、繋がりが想像出来ない単語に首をかしげるミケだった。