第2章 ミケとミケと気になるあの人
自分を見つめるミケ猫と目があえば、一瞬にして真っ赤に染まる頬。
「あ、い、今のは、聞かなかった、ことに!」
そう言うと、隠れるように鼻まで湯に浸かる。
「…ミケ君だから、言えたのかな」
立ち上る湯気の中、ぶくぶくと浮かぶ泡に混じり呟かれた言葉。
(だって、こんなこと…恥ずかしくて言えないもの…)
んなぁ…?
(それに、きっと、私じゃ…)
カリンは湯から顔を出し、ぷはっ、とつかえているものを吐き出す。
(でも……)
今も染まる頬は、先ほど呟いた言葉のせいだろうか?
それとも、温かな湯のせいだろうか。
(やっぱりだめ。今はまだ……)
ふるふると首を振れば、纏めていた髪がほどけて広がる。