第2章 ミケとミケと気になるあの人
自室に向かいがてら、着替えやら何やら必要な物を頭の中にメモしていく。
「あ、そうだ…一緒に入っちゃおうかな?」
みょあ!?
いい?と顔を覗き込まれてミケ猫、驚いた表情のまま小さくこくんと頷いた。
「ありがとう。よし、もうすぐだよ~」
着いたそこは二人部屋。
しかし部屋割りの関係から、カリン一人で使っていた。
「さて、着替えとタオルと」
てきぱきと揃えていく彼女を、ミケ猫はベッドの上で大人しく見つめている。
「あ、そうだ。私この部屋で一人なの。だけど、今夜からはあなたと二人ね」
よろしくね、ミケ猫…と言いかけた形で止まる唇。
「じゃなくて、ミケ君って呼んでもいい?」
んなぁ!
「よかった。あ、これはミケ君用よ」
用意されたのは真新しいバスタオル。
彼の隣に置き、ぽんぽんと叩いて知らせる。
ふんふんふん…
ミケ猫は何かを確かめるように、鼻を擦り寄せ匂いを嗅ぐ。
「気になる…?ふふ、本当にそっくりね。さ、そろそろ行こっか」
撫でて気づくが、インクはすっかり乾いていた。
カリンはミケ猫を抱き上げると、荷物が入った鞄を肩にかける。今日は二人分の為、少々多いようだ。
「それじゃ、お風呂に向けて出発!」
なんちゃって、と笑いながら廊下を進めば、うにゃうにゃと返事をするミケ猫。
もうすっかり意気投合している二人。
着いた浴場、女湯に人影はなく、今日は一番乗りだ。
『楽しみね』そう言うと、一人と一匹は脱衣場への扉を開けた。