第1章 猫と団長と伝言ゲーム
なぁぁ…
もうヤダ、そんなうんざりした表情でエルヴィンを見るミケ。
手元にあったハンカチで丁寧に拭いてやるも、全身を綺麗にしてやることは出来ない。その間も二匹は追いかけっこ継続中だ。
「すまない、少し待っていてくれ」
そうミケへと告げると、ハンジとリヴァイを捕まえるべく部屋の中央で片膝をつくエルヴィン。
「いい加減にしないか。ほら、こっちへ来なさい」
にゃぁぁあああ!!!
絶叫と共に走り寄るハンジ、それを受け止めるべく両腕を広げるエルヴィン。
その胸に飛び込む、と思いきやハンジは立てられたエルヴィンの膝から肩を足場にして高く飛ぶ。
思わず前のめりになったエルヴィンの頭頂部、追いかけてきたリヴァイが豪快に踏み切った。
ミケは置かれたハンカチに頭を擦りつけ、なんとかインクを落とそうとしている。
すっかりとハンカチが緑になったところで、部屋の中央に蹲るエルヴィンを見やった。
びょ"ょあぁあ"!!!!!
団長室に、およそ猫とは思えない鳴き声が木霊する。
驚きの表情を浮かべるミケの眼に映る、蹲ったまま微動だにしない人物。
ミケのいる方へ向けて項垂れるその頭は……