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【ハイキュー!!】happy ignorance R18

第6章 The reality is a ruthless


結局あの後、皐月は何も言わずに去って行った。

もう今後、一生口を聞いてもらえないかもしれない。

それも仕方の無い事をしたんだ。

でも…仕方が無いと諦めるつもりはない。

皐月がたとえ許してくれなくても、俺は彼女に償いたい。

そんな思いがなければ、背中越しでも話し掛けるなってオーラを漂わせている人物に話し掛けたりはしない。

日向や影山であれば、このオーラに気付きもせずに、ホイホイと話し掛けられるんだろうけど…。
こういう時だけ、奴らの無神経さが羨ましく思える。

「月島…。」

「…何ですか?」

話し掛けるなって気付いてるのに、話し掛けてくるってどういう真剣してるんですか?と言わんばかりの面倒そうな溜息と一緒に帰ってくる言葉は、依然として背中越しで、決してこちらを振り返ろうとしない。

「少し話せないか?…皐月の件で。どうしても話したい事がある。」

「俺はありません。」

俺から話し掛けられた時から皐月の話だろうと予測していたのだろう。
予め決められた答えかのようにキッパリと告げられる。

皐月と同様に頑なな月島の様子に、早々に心が折れそうになるが、皐月の泣き顔を思い出せば、ここで撤退するわけにはいかない。

「お前に無くても、俺にはあるの。それに、月島は知らないと後悔する…いや、月島は知らなきゃいけない話だ。」

ゆっくりこちらを振り返った月島の表情は訝しく歪められ、確かに怒りや迷惑さを表しているのに、その目は悲しさが容易く見て取れた。

皐月だけじゃない。
俺が傷付けたのは、皐月だけじゃない。

無愛想で、お世辞にも可愛いとは言えないけど、それでも大切な後輩…。

月島の事も傷付けたんだ…と、そんな単純な事に今更気付いた。

噛み締めた奥歯からギリっと音が聞こえた。
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