【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第6章 The reality is a ruthless
「違…うんだ。皐月。」
何が違うと言うのか。
欲望のままに、何も知らない彼女を汚した事は事実でしかない。
「なんで…あんな事したんですか?」
今度は先程よりもハッキリした声で耳まで届いた。
「そんなつもりじゃなかったんだ。話をしよう。」
じゃあ、どんなつもりだったと言うのか。
皐月が月島を好きだと言う気持ちを知っていて、皐月の知識の歪みに気付いていて、それをどんなつもりで利用したと言うのか。
そして、この期に及んで、まだ話し合って皐月を丸め込もうとしている自分に愕然とする。
皐月を深く傷付けて、まだ好きだとでも言うつもりか?
そんな俺の考えが全てわかっているかのように皐月がこちらをキッと睨んだ。
「やっぱり知りたくありません。もう…話し掛けないで下さい。」
そう言った皐月は、自分の言葉に傷付いた表情を浮かべる。
この子は自分があんな目に合わされてもなお、その相手を拒否する事に心を痛めているのか。
ぐっと握り拳に力が入る。
本当…何て事をしてしまったんだ。
「…皐月、本当にごめん。謝っても謝りきれない事をした。」
勢いよく頭を下げれば、皐月の足しか見えず、彼女がどんな顔をしているか、確認する術もない。
それでも今の俺に必要なのは、彼女の顔色を伺いながら言葉を考える事じゃない。
心から謝る事しか出来ない。
「許されるとは思ってない。皐月のキスやそう言う行為に対する認識がおかしいと気付いた時、正直に言うと嬉しいと思ってしまった。好きで好きで、仕方がないけど、絶対に振り向いて貰えない気もしてた。だから、嘘でも抱き締められるだけで、幸せだと思った。そう言う…目先の欲に、自分の心に負けた。皐月を傷付ける行為だってわかってたのに。本当にごめん!」
こんなに必死になったのはいつぶりだろうか。
皐月に許して貰う為なら、いや、たとえ許されなくたって彼女の為なら何でも出来る。
なら、最初からこんな事してんじゃねぇよ。
後悔なんて言葉では足りないくらいに悔しくて、過去の自分が、目の前に居たら馬乗りで殴り倒しているだろう。
皐月を傷付けてんじゃねぇって…。