【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第6章 The reality is a ruthless
自分で考えろ…。
菅原さんはそう言い残して去って行ったけど、残された僕は幾ら考えても答えどころか、新たな疑問ばかりが浮かび上がる状況にその場に座り込み、軽く頭を抱えた。
大体…こんなありえない状況を受け止めろとでも言うのか?
気持ちの無い相手と…そんな事…。
想像しようにも、僕の少ない経験では全く思い浮かびもしない。
この事に気付いた時、和奏はどう思ったんだろうか…。
傷付いただろう…。
純粋で素直な和奏の事だ。
自分を責めたりもしたのだろうか…。
そう思うと、改めて及川さんや菅原さんへの怒りが湧いて来る。
和奏の事を好きだと思っておきながら、彼女を傷付けるような行いをした人達が憎くて仕方ない。
僕なら…絶対にそんな事はしないのに。
そう思う気持ちに嘘は無いのに…。
傷付いている彼女を理解して寄り添えるか…と自分に問えば、どこからか無理だと返事が返ってくる。
和奏が好きだ。大切だと思っている。
泣かないで欲しいし、傷付いて欲しくない。
出来るなら僕の手で笑顔にしたい…。
でも、本当に笑顔になんて出来る…?
本当に彼女の傷を理解して包み込める…?
僕には無理。
きっと及川さんや菅原さんにどうにもならない嫉妬をして、余計に和奏を傷付ける。
僕が側にいる事で、もう既に後悔して自分を責めている和奏が、もっと自分を責める事になるかもしれない。
そして和奏の為の様に言いながら、結局自分が耐えきれないような嫉妬の気持ちと向き合うのが怖いんだ…。
そう、結局この事実を知ったところで、僕に出来る事なんて何もない。
菅原さんの思い違いだ。
そもそも和奏への気持ちは、既に家に行ったあの日に整理がついていたはずだ。
それこそ自分の中の凄く痛い気持ちに何とか折り合いを付けて、忘れると決めたはずだ。
和奏の事は、もうこのまま忘れる…。
「シケた面してんじゃねぇぞ!」
急に頭上から掛けられた声に、僕の心中を全て察したかの様な言葉に驚く。
一瞬、菅原さんが戻ってきたのかと思ったけど、その声にも口調にも嫌な程心当たりがあって…むしろ、菅原さんの方が何倍もマシだ。
「何で王様がここに来るのさ。」
無関係のくせに…と続く言葉は、そこに立つ王様の訳知り顔に飲み込まざるを得なかった。