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【ハイキュー!!】happy ignorance R18

第5章 uncomfortable fact


和奏…和奏…。

彼女の姿を見付けるまで、何度も呼び続けた名前は、彼女を前にした途端に心の中でさえ呼べなくなった。

泣き崩れる和奏がチラリと視線だけでこちらを確認する。
その表情に、さっき飛雄が言ってた事が嘘ではない事を理解した。

和奏…。

ゆっくり心の中で呼んでみるが、実際に口に出す事は到底難しく思えた。

「…帰って。」

彼女の視線が、突きつけられた言葉が、瞳から止め処なく溢れる涙が…和奏の存在の全てが俺を拒絶していた。

「和奏、待って。まずは俺の話を聞いて。」

大丈夫。
話せばわかってくれる。
和奏は俺を受け入れてくれる。

そう思い、和奏に伸ばした手は、和奏に触れる前にはたき落とされる。

「触らないでっ!」

悲鳴の様な、泣き声の様な…聞いているこっちが苦しくなる様なそんな声だった。

それほどの強さでは無かったはずなのに、和奏に叩かれた手がジンジンと痛む。

「徹とは話したくない。近寄らないで。帰って!」

語尾に行く程に語気の強まっていく和奏の言葉をただ聞いていた。

泣き崩れる和奏を、さらに傷付けているのは、ここにある自分の存在なのだと思うと、それ以上その場に居る事も出来ず、フラフラした足取りで和奏の家を後にする。

俺は何て事をしちゃったんだよ。。。

今になって、自分が泣いている事に気付くなんて、かっこ悪いどころの話じゃない。

和奏…。

泣かないで、和奏。
そう言って、抱き締められたら、どんなにいいか。

いつもみたいに和奏が笑ってくれるなら、俺、どんな事でも出来るよ。

和奏を泣かす奴なんて、絶対に許さないって思ってたのに…。

和奏…、和奏…、ごめん。
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