【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第1章 worng perceptions
皐月が及川さんを避けて青城に行かなかったと聞いて、この時の及川さんと皐月が付き合ってないという話がやけに鮮明に思い出される。
まだ…半信半疑だけど。
「及川さん…怒ってそうだな。」
「そうなの!わかる?さすが、影山君。もう…酷いんだよ。高校が別々になったくらいで…。でも、これで良かったんだ!だって、中学でもさ…徹が卒業した後の2年は…ねぇ。」
最後まで言わなくても、何が言いたいかわかる。
男子生徒はバレー部以外も漏れなく及川さんに脅され、皐月と必要以上に言葉を交わすことを恐れていた奴も居たくらいだし…。
女子生徒は逆に嫉妬心からくる当たりがキツかった。
及川さん在学中は「うちの幼馴染と仲良くしてあげてねー。」と言われ、ニコニコしていた女子たちが、及川さんが卒業した途端に手のひらを返したように皐月から離れていったのを、男子は全員にひき気味で見守って…いや、見て見ぬ振りをしていた。
「あぁ…そうだな。」
確かに及川さんの事を知らない人たちばかりの学校に進学したいと皐月が望むのは普通の事なのかもしれない。
って事は…やっぱり付き合ってんのか?
まぁ、そう考えた方が自然だよな。
だって…付き合ってないのにキスしたりするはずないし。
「なっ…なんで居る!?」
突然、数分前の俺の気持ちを代弁したような叫びが体育館に響いた。
「影山 飛雄!!」
振り返ると見覚えのあるチビがこちらを指差している。
「あっ、雪ヶ丘中の…1番!ジャンプの凄かった!!」
俺の記憶を肯定するように皐月が驚きの声を上げている。
どうやら皐月との話はここで切り上げらしい。
皐月がどんな理由で烏野に来て居たとしても、それを嬉しく思っている俺がいる事には気付かないフリをした。