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【ハイキュー!!】happy ignorance R18

第4章 Seeing is believing


side 月島 蛍

ショーケースに並ぶ華やかなケーキ達の中から、まずは迷わずにショートケーキを頼んだ。

和奏は何が好きだろう?
こんな事なら、事前にリサーチしておけば良かった。

そもそも何個買って行けばいいんだろう?
兄弟が居るなんて話は聞いたことがないから、一人っ子だろう。
ご両親は仕事の都合で不在とは聞いてるけど…夜には戻るだろうから、僕の分も含めて4つ。

「ありがとうございましたー。」という、やけに明るい店員の声を背中で聞きながら、買ったばかりのケーキの箱が横向きになったりしないように注意深く店を出た。

そもそも…僕って、あんまり和奏の事知らないんだな。
まぁ、出会って数ヶ月だから、当たり前だけど。

こんな事、考えてしまうなんて、僕らしくもない。
全部あの人のせいかと思うと、自然と溜息が漏れた。

数週間前の練習試合で会った青城のキャプテン、及川さん。
試合の最後にピンチサーバーとして出てきたかと思ったら、わざわざ宣言して僕をサーブで狙ってきた。

まぁ、相手は3年生。
しかも、強豪校のキャプテンだ。
そんな人のサーブが取れないなんて当たり前の事だし、普段の僕なら気にもしない。
実際に試合が終わるまでは、何とも思ってなかった。
試合後に及川さんが和奏に話し掛けに来るまでは。

「徹は幼馴染で…本当の兄みたいな存在なんです。」

烏野の皆に、そう説明した和奏の顔を思い出して、また溜息が漏れた。

兄みたいな存在…ねぇ。

和奏はそう言っていたが、2人の距離感はまるで恋人同士のそれだった。
少なくとも及川さんは和奏の事を妹だなんて思ってないんじゃないだろうか。
及川さんが放った言葉の端々に、和奏に対する独占欲や、誰よりも自分が和奏の事を知っているという優越感が滲み出していた。

菅原さんや王様なんかより、何倍も厄介な相手の登場に、ここ数日、溜息をつきがちだ。
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