【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第4章 Seeing is believing
排球部のみんなは学校へ戻る支度を整えて、青城の校門付近に居た。
自分の荷物を肩に担ぎ直して、その輪に近付くと、烏野の黒いジャージの中に、1人だけ爽やかな色のジャージを身に付けた人物が目に入る。
「及川さん…。」
今、一番会いたくない人物だ。
しかも、これ見よがしに皐月の隣に…。
「おっ、飛雄ちゃん。やっとトイレ終わったの?及川さんのサーブの威力にビビってチビっちゃったとか!?」
いつもの…及川さんの挑発だ。
いつも通り聞き流せばいい。
わかっているのに、握った拳に力が入る。
「まぁ、冗談はともかく…次に試合をするまでにサーブも磨いておくからね。」
及川さんが爽やかな…いや、腹黒いだけの笑顔を添えて月島を見た。
「もぉ…徹はそういう意地悪しか言えないの?私達だってこれから猛特訓するんだから!」
人数は圧倒的に烏野の方が多いのに、完全に及川さんペースの空気が出来上がっている。
その様子に皐月が困った声をあげた。
幼馴染とチームメイトの…まさに板挟み状態だ。
皐月がチームメイトが気分を害さないように、及川さんの印象が悪くならないように…と取り繕っている様子は見てられない。
「猛特訓もいいけど、和奏は頑張り過ぎて体調崩したりしないでよ。って訳で、俺の大切な幼馴染なんで、無理させないでね。」
後半はキャプテンである澤村さんに言った言葉だ。
いつも通り、飄々と言ってのける及川さんに無性に腹がたつ。
大切な幼馴染…。
どんな気持ちでそんな事言ってるんだ。
皐月の事、騙して…傷付けてるくせに。
及川さんを殴りたい衝動に駆られる。
他校で…部活の練習試合の帰りに…絶対にダメだとわかっているのに、それでも殴りたくて仕方がない。
「飛雄も猛特訓せいぜい頑張りなよ。」
そんな俺の様子に気付きもせずに、及川さんが俺の肩をポンっと叩いて去っていく。
俺の様子なんて眼中にもないんだろう。
及川さんが気にしているのは、悔しい事に月島だ。
やっぱり…殴っておけば良かった。