【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第4章 Seeing is believing
「謝ったりすんなよ!!!」
金田一の声が、試合後の男子トイレに響いた。
及川さんがピンチサーバーとして入ってからの怒涛の攻撃を何とかしのいで、練習試合は俺たち烏野の勝利で終わった。
まだまだ、満足行く結果じゃないけど…確実に一歩前進した気がする。
そんな手応えがあったからこそ…金田一と話そうなんて思ったのかもしれない。
でも、確かに謝るなんて、俺らしくない。
「次戦う時に勝つのも俺達だ。」
俺の言葉を聞いて、金田一が少し驚いたような、笑ったような表情になったので、自分の発言が間違いではない事を確信した。
そういう話になったなら、これ以上話すこともない…。
俺が立ち去ろうとした時に、金田一が先程と同じような緊張感ある声で続けた。
「影山…。皐月さんの事だけど…。」
ここで…突然皐月の話…?
しかも、及川さんの子分のような存在で、普段から皐月と話そうともしなかった金田一から…。
その違和感に俺は思わず足を止めて、視線だけで金田一に話の先を促した。
「あっ…いや。烏野に行って…どうしてんのかなぁって。」
なんだ、それ?
どう考えても違和感しかない。
「お前が皐月の様子を気にするなんて、おかしいだろ。本当は何が聞きたいんだよ。」
俺の言葉に、金田一がこちらを見つめて黙り込む。
その表情が何だか青白く見えて、それ以上催促も出来ずに、金田一が口を開くのを待つ。
「…いや…あの…。俺…聞いちゃったんだよ。今日、及川さんと岩泉さんの会話。偶然だったんだけど…それで…。」
恐る恐ると言った様子で話し始める。
まだ、俺に話していいのかを迷っている様子だ。
及川さんと岩泉さんの会話?
皐月関係の…?
及川さんが岩泉さんに皐月の話をするのなんて、いつもの事だ。
金田一がここまで青ざめる理由が未だにわからない。
相槌も打たずに黙っていると、金田一は決心したように一気にまくしたてた。
「お前も噂くらい聞いた事あるだろ!?及川さんと皐月さんが付き合ってないって。あれ…本当だったんだよ。なんか…及川さんが皐月さんの事騙して…その…そういう事してるみたいで…。俺、訳がわからなくて…。」