【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第4章 Seeing is believing
side 菅原 孝支
この1週間、皐月との関係は一進一退。
良かった事と言えば、例の幼馴染のトール君について相談してきてくれるようになったので、前より2人で話す時間が増えた事。
「んで、もうトール君は怒ってないの?」
「大丈夫でした。何か嫌な事があったみたいなんですけど、私のせいじゃないって。八つ当たりだって謝ってくれました。」
そりゃ、皐月のせいな訳無いべ。
半分はトール君自身のせい。
残りの半分は俺のせいだ。
「じゃあ、一安心だな。」
ヨシヨシと頭を撫でてやると、安心しきったようにこちらに身体を預けてくる皐月をギュッと抱きしめた。
「菅原さんのお陰です。それに、徹に蛍君のこと話したら協力してくれるって…って、これは菅原さんに言うことじゃないですね…。」
…これが悪い事。
俺の告白が何故だか皐月の背中を押してしまったらしい。
皐月が言うには、俺の告白にちゃんと向き合うために自分の気持ちにもしっかり向き合うと決めたそうだ。
皐月の純粋さって、こういう時は厄介だな。
しかも、トール君が協力すると言ったって?
そんなの嘘に決まってるのに。
「いや、何でも話してくれて嬉しいよ。」
「なんだか…菅原さんと徹って似てます。」
…それって暗に恋愛対象外と言われてるんじゃないのか?
しかも、トール君は私欲のために幼馴染を騙し続ける下衆っぷりを発揮してくれてるし…。
褒めてくれてるつもりの皐月には悪いけど、全く嬉しくない。
「そんな事無いと思うけどな…。ってか、そろそろバスの準備も出来てるんじゃないか?」
「あっ、そうですね!戻りましょうか。」
皐月がドリンクの入ったボトルを籠ごと抱えようとするのを制して奪う。
「何の為に来てると思ってんだよ。皐月はそっちのタオルとか運んで。」
これからバスに乗って県内の強豪、青葉城西へ練習試合に向かう。
向こうからの指名でセッターは影山が務める事が決まっているので、今日は控えも含めてサポートに徹するつもりだ。
「ありがとうございます。やっぱり菅原さんと徹は似てます!」
とびきりの笑顔で、嬉しくない事を言い放つ皐月の横に並んでバスへと向かった。