【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第2章 what is lost is lost
実際に僕達が付き合っているのかと聞いてくる人も結構多い。
自分の口から否定をしたくなくて、無視したり、言葉を濁して逃げ回っている。
そんな事、無意味だってわかっているけど。
「さぁ?」
興味なさそうなフリしてそう言えば、大抵の相手は引き下がる。
まぁ…、日向や影山のような単細胞には通じなかったけど。
「違うよ!私と蛍君が付き合ってるわけないでしょ!!」
今日の朝練前に僕がしつこく食い下がる日向に、嫌気がさしてきた時に、和奏が慌てた様子で言った言葉だ。
付き合ってるわけないでしょ…か。
少なくとも僕は和奏とそういう関係になる事を望んでいたけど。
和奏は違うのか…。
そう落ち込んでいると、次は必ず僕が舞い上がるような事を和奏は仕掛けてくる。
「あっ、蛍君!ドリンクだよ。そろそろ水分補給だと思った。ピッタリのタイミングでしょ?」
そんな可愛い笑顔でドリンクを差し出さられば、僕の彼女だと誤って明言しそうになる。
本当は…僕の事が好きなんじゃないの?
そんな持ち上げたり…落としたり…。
しかも、僕限定でそんな態度をとってくる。
弄ばれてるのでは…とか、考えたりもしたけど、和奏の性格を考えたら、計算でそんな事が出来るタイプじゃない。
少なくとも僕はそう信じている。
じゃあ…天然で僕をこんなに振り回しているのか…。
「なんだか、頭痛くなってきた。」
思った事をそのまま口に出せば、慌てた様子の和奏が下からこちらを覗き込んでくる。
自然と上目遣いになる和奏に、胸がトクリと音を立てた。
「蛍君、大丈夫??保健室行く?」
「いや、大丈夫だよ。和奏こそ、体調悪いんでしょ?しんどくなったら、無理せずに言いなよ。」
胸の高さにある和奏の頭をくしゃっと撫でると、ふわっと甘い匂いが鼻をかすめる。
まだ出会って1週間だけど…こんなにも夢中になるなんて、本当にどうかしてる。