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lovesong birds【短編集】

第9章 荒野を歩け[帝統]




「んなわけねぇし!アイツは、あれ、友だちでさ、だからありえねぇんだって!仲良いしさ!でもちげぇよ!!」


帝統はむちゃくちゃに抵抗した。
嘘つきの友人は抵抗する帝統にイラついた。
だって眠いし、明らかな恋心なのに否定しまくるとかなんだよ、時間の無駄だよ、中学生かよ。

「帝統。鬱陶しいです。中坊か。」
「な、急にキツっ!」
「彼女が居たことないという訳では無いでしょう。」
「まぁ、うん。」
「なら好きとか分かるんじゃないですか?」
「いや、うん。好きとかは、知ってるけど、」

帝統は少し考えてからポツンと言った。

「だから言っただろ、これ、初めてだって。今までと違うんだ。だから好きとは」
「いやピュアな中坊じゃねぇんだぞ。」

多少口調は崩れたけれど、つっこまずには居られなかった嘘つきの友人。ピュアさ加減というか、アホ加減に驚きが隠せない。

ハッと正気に戻った友人は、んんっと咳払いを挟み、冷静に対応しようと帝統と向かい合う。

「いいですか?」
「お、おう。」
「貴方は、つむぎさんと一緒に居るのが楽しい。」
「あったりまえだろ!友だちだしな!」
「一緒に居る時間が好き。」
「お、ん。おん!そーだそーだ!友だちだし!」
「ずっと一緒に居たい。」
「あ、えと」
「他の男の人の話をしているのは気に食わない。」
「あ、」
「そりゃもう好きってことです。今日に至っては性の対象として見てしまったんでしょう?」

帝統はまた固まった。固まった顔がまたどんどん赤くなる。嘘つきの友人はちょっとずつ楽しくなってきた。

「おれ、アイツの、こと、すき、なのか」

言ったらまた赤くなった。
赤く熱く、湯気が出るくらい。

「好き、って、うわ、」

帝統は言葉をゆっくり噛み締め、飲み込み、混乱した。


「じゃあ、どう、どうすんの、どうすりゃいいんだ!?」
「知りませんよ。自分で考えろ。」

次からどんな顔で会えばいいのか分からない帝統はまた焦る、焦る。

「言っときますけど、つむぎさんが嫌がる事をしてしまえば速攻失恋ですよ。」
「速攻!」
「あ、それでしたらもう失恋してますわねおほほほ。」
「速攻どころか!?」
「まぁ、嘘ですけど。」
「嘘かよ!」
「まぁ、嘘ってのが嘘かもしれないですけど。」
「やめろ!」

楽しくなってきちゃった友人は帝統をいじり倒した。


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