第10章 それでは、また明日[空却]
──────────────────────
──────────────
────
『もしもし、空却?』
『おーつむぎ、観てたか?』
『うん。空却んちの寺で、灼空さんと、お母さんと、あとほかの檀家さんたちもみんな集まって、観た。』
『ヒャハ、大集合じゃねぇか。どうだ、盛り上がったろ?』
『うん、それでさ、あのさ、空却、』
『なんだぁ?お前、泣いてんのかよ。』
『うん、なんかさ、その……ありがとうって、言いたかったの。』
『ヒャハハッ!なんだよ改まって!』
『十四くんにも、あとアマグニさん…?ヒトヤさん、にも伝えておいてほしい、ありがとうって。』
『おー!てかお前、そんな泣くタイプだったかよ。』
『…空却の前では1回泣いちゃったから、もういっかなって。人前では泣かないように我慢してんだよ?』
『親父さん亡くなった時もてめーは頑として泣かなかったしなぁ。』
『…うん。私が泣いたら、お母さんがビックリすると思ったし…。そ、そんなことはいいよ!とりあえず、お疲れ様。』
『おー、また話そうぜ。』
『お土産話いっぱい聞きたい。シンジュクさんめっちゃ凄かったし。シンジュクさんちょーかっけぇね。』
『おー、堂々と浮気か?』
『違うし。』
『ハハハッ、じゃあまた帰ったらな。』
『おう。気をつけて帰ってきゃーね。』
『ん!』
ぶつり、と通話が切れて、つむぎは涙を拭った。
大切な地元の名を賭けて本気になってやってくれた彼らのために、自分の心を、命を削るように歌ってくれた彼らの為に、何を出来るだろうか。
とりあえず、今度みたらし団子でも買っていこうか。
次会えるのは、いつだろう。
会おうとすればきっと、明日にでも会える。
また、明日にでも。