• テキストサイズ

lovesong birds【短編集】

第4章 こんにちは またあした [瀬呂]




「はぁ」


俺って、結構ため息多い。

飄々としてるとか、地味とか。
よく言われるけど。

あれかな、省エネ系男子的な。


まぁトモダチといる時は楽しいし、盛り上がるし。
普通だとは思うけど。

今落ち込んでんのはあれ、体育祭の。
またぶり返してる。


轟つえぇし、しょうがねぇし。
でもなぁ。ネタにでもしねぇとやってけないっていうか。俺だって結構色々かけて頑張って。


考えすぎんのがいけねぇのかな。


そんな時だった。
アノ子が後ろをふいっと通ってったんだ。


「…んっふふっ」


何が嬉しいんだか楽しそうに鼻を鳴らして、ニコニコ笑ってた。

駅で良く見る女の子。
電車に乗る時いつもジャンプしてる。

何も考えてなさそうな、お気楽そうな女の子。


「うえをむーいて、あーるこおぉふんふん、」

もはや鼻歌を超越した、歌を歌ってる。


聞いてみたくなった。
なんでそんなに幸せそうなのか。

分けて欲しいくらい。


その日からよく目で追うようになって、電車の中で腹痛を助けてから話すようにもなって。


それで、きいた。


「いっつも幸せそうだよな。」
「そ、そかな。」
「傍から見るとすげぇよ。」
「幸せな方がいいからね。ご飯美味しいし、歩くのも楽しいし、バナナジュース美味しいんだよね。」


なんともない顔で、そんなこと言った。

歩くのが楽しい理由も聞いて、おすすめのバナナジュースもきいた。


それを聞いたら歩くのが好きになったんだ。
バナナジュースも好きになったんだ。


好きなもの、増えた。
楽しい時間が、増えた。


つむぎと会って、幸せが増えた。


/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp