第4章 こんにちは またあした [瀬呂]
「はぁ」
俺って、結構ため息多い。
飄々としてるとか、地味とか。
よく言われるけど。
あれかな、省エネ系男子的な。
まぁトモダチといる時は楽しいし、盛り上がるし。
普通だとは思うけど。
今落ち込んでんのはあれ、体育祭の。
またぶり返してる。
轟つえぇし、しょうがねぇし。
でもなぁ。ネタにでもしねぇとやってけないっていうか。俺だって結構色々かけて頑張って。
考えすぎんのがいけねぇのかな。
そんな時だった。
アノ子が後ろをふいっと通ってったんだ。
「…んっふふっ」
何が嬉しいんだか楽しそうに鼻を鳴らして、ニコニコ笑ってた。
駅で良く見る女の子。
電車に乗る時いつもジャンプしてる。
何も考えてなさそうな、お気楽そうな女の子。
「うえをむーいて、あーるこおぉふんふん、」
もはや鼻歌を超越した、歌を歌ってる。
聞いてみたくなった。
なんでそんなに幸せそうなのか。
分けて欲しいくらい。
その日からよく目で追うようになって、電車の中で腹痛を助けてから話すようにもなって。
それで、きいた。
「いっつも幸せそうだよな。」
「そ、そかな。」
「傍から見るとすげぇよ。」
「幸せな方がいいからね。ご飯美味しいし、歩くのも楽しいし、バナナジュース美味しいんだよね。」
なんともない顔で、そんなこと言った。
歩くのが楽しい理由も聞いて、おすすめのバナナジュースもきいた。
それを聞いたら歩くのが好きになったんだ。
バナナジュースも好きになったんだ。
好きなもの、増えた。
楽しい時間が、増えた。
つむぎと会って、幸せが増えた。