第4章 こんにちは またあした [瀬呂]
「おい瀬呂!なに女の子と話してんだ!紹介しろよ!女の子!」
「えーなに女の子ー!?瀬呂もやるねぇ!紹介してして!」
「他校に知り合いいんのか、すげぇ!」
隠れてた場所から引っ張り出されて、つむぎは彼らの前に立った。
有名人いっぱいすぎる、とつむぎ、萎縮。
「はいはい、こちらつむぎ。駅で時々会うんだよ。」
「は、はじめまして糸滝、つむぎ、でしゅ。」
噛んだ。
「噛んだな。」
「噛んだね。」
「他校の女子やば。」
萎縮したつむぎは、下を向いてモジモジとした。
流石雄英だ、とか、靴を見ながら思う。
「なんだよー!ナンパかよぉ!瀬呂め、やることやってんな!」
「ナンパじゃねぇ。」
「でも他校の女子と仲良くなるってすごいな。」
「ねぇねぇつむぎちゃん!私芦戸三奈!覚えてる?私体育祭出てたー!!」
「お、ん。出てた…です。凄かったですっ!」
「敬語?」
「ひょ、」
各地で勃発する会話に、つむぎは目を回した。
有名人、半端ない。言葉がでない。
萎縮。
「瀬呂さ、なに、ナンパじゃないの?なんで、知り合ってんの。」
「まぁ、色々あってな。」
「なんだそれ!」
色々…だって。えへへ。
とつむぎはぽっぽと頬を赤らめる。
「お茶誘っていいかな!ご飯!」
金髪の、確かかみなり、みたいな名前の男の子は、興奮気味に喋っている。
瀬呂くんは、彼と話している。
男友達と、話す彼。レアだ。うぇへへ。
「なぁ、いいかな!ご飯さそう!」
「んー、誘っちゃダメだよ。」
「え、」
「ふふん」
「それって、ど、う」
「俺もまだ誘ってないしな。」
なんだ、それは。
イタズラっぽい瀬呂くんに、つむぎの胸が、ずきゅんとはねた。
心臓が揺れてる。頬が赤い。
やっぱりここ、酸素薄いし。
つむぎには瀬呂くんの、言葉の意味が、わからなかった。
その言葉になにか含まれていないか期待した。
都合よく、受け取ってしまいたくなった。