第2章 Hero Appears [轟]
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『またエンデヴァーになんか言われたの?』
『…ん。』
いつもの公園。
『気にするもんじゃないよ。』
『でも…個性が…』
ひとりが立ち上がって、まっすぐ前を向いた。
『個性なんて、ただの“個性”だよ!』
『え?』
『足が速いのとか歌が上手なのとかと同じ!鬼ごっこして楽しいのは変わんないでしょ?』
『…う、うん 。そうだけど、』
『ならいいじゃん!楽しいから!』
『えっ』
振り返って笑う顔は、闇を吹っ飛ばす。
『遊ぼう!』
『でもまたお父さんが、』
『しょうくんのしたいことすればいいよ!また怒られるなら私も一緒に怒られる!』
『僕の、したいこと…』
結局あの日、ふたりは怒られた。
デコにたんこぶができた彼女は、性懲りも無く彼のお父さんに向かってべーっと舌を出し、また殴られて。
『いーだーいー!』
『ねぇ、ごめんなさい。僕のせいでこんな…』
『違うよ!』
『でも、』
『楽しいよ!しょうくん!』
『楽しい?』
『うん!』
デコを抑えたまま、少女は笑う。
楽しくて楽しくて仕方なくて、笑う。
『しょうくんと遊ぶの楽しいよ!』
少女は少年をまっすぐ見据えた。
『それはたぶん、しょうくんがステキなやつだからだ!ぜんぶぜんぶ、しょうくんだからだよ!個性なんか、なんだっていいさ!』
少女は笑う。
少年は驚きに目を見開いた。
希望できらきら輝く瞳を。色の違うふたつの瞳を。
『お父さん、怖くないの?』
『うん!』
『…強いんだ。』
『無敵だよ!』
『オールマイトみたい…!』
そう少年が零すと、少女は大きくヒーローポーズをとった。
『完全無欠のヒーローだよ!』