第5章 カ タ チ
『エースが、どうしたんだ?』
スカルの言葉に思わず耳を傾けた
前にも、デュースに私とエースは似ていると言われたことがある。スカルもエースの船に乗っていたクルーのひとりだ
私の知らないエースを知っている……
「エース船長は、姉さんみたいに才能に溢れていて、人を惹きつける人なんでさァ」
それは確かに頷ける。気づけばエースの周りには人が集まっていた
荒れた子供時代でも、その優しさや兄貴肌というのが、ルフィや私に対して出ていたのは実感済み
「俺達の船には色んな奴がいやしたよ。医者になりそこなった元医学生やら、学校の先生やら、しがない情報マニアなんかもね」
スカルは、エースの横暴っぷりや、それまでの冒険の話をしてくれた。デュースから聞いた話もあって、会話の熱は上昇していくばかりだった
『……エースは何故七武海入りを蹴った』
明確な理由は分からなかった。ただ何となく、エースならきっと断りそうだ、という曖昧な勘というやつ
同じ船に乗っていたスカルなら訳を聞いているかもしれない。そう思った
「さぁ…けどエース船長のでっかい野望には合わなかったんですよ、きっと」
スカルも、ハッキリと本人の口から聞いたわけではないようだ
そういう話は、デュースの旦那の方がいいだろうとアドバイスまでくれた
エースの仲間は、いい人が多いな
それもエースの魅力なんだろうか
「にしても、エース隊長は海軍に縁が多いみてェで」
『?』
言った意味がよく分からず首を傾げると、スカルも同じように傾げながら言った
「知りやせんか?イスカの話」
『…イス、カ……?』
海軍でイスカと言えば、釘打ちのイスカさんしかいない。
なんでその人とエースが?何の関係があるって言うんだ
「スペード海賊団が解散する前、丁度七武海の話が出た時、海軍の襲撃を受けてその女海兵を逃がしたんですよ」
……私が、海軍本部に入る前だ。きっとじいさんの船にいた頃だろう。しばらくして私は海軍本部に入隊した
「それがきっかけでイスカはエース船長を追うようになり、七武海入りを蹴った時も、故郷の仇が同じ海兵であると知ったイスカを自分の船に乗せようとして」
エースがイスカさんを?海賊が海兵を守ろうとした…?
……なんで、だってエースは、私の事……