第4章 クジラの背中
エースは私のことを、幼馴染みでも敵だとも思っていない。私を一人の女として見ている
きっと海兵になる前の私ならきっと喜んでいた
でも今は、嬉しくない
そんな風に言われても全然嬉しくない
またあの時みたいに、"女だから"って言って置いて行ってしまうんだ。そんなのやだ、せっかく追いかけて来て見つけたのに
またそんな風に突き放すなんてやだよ…
『……女として見てくれなくてもいい。私は、お前の傍に居たいんだ』
「っ、、」
空いた片手をエースの頬に伸ばす。逃げないように、逃がさないように。その泳いだ目さえも追いかける
『でも、女の子のままじゃお前の傍には居られない』
お前がそう教えてくれたんだ、エース。
お前の隣に立つには、強くなきゃ行けないって
『……私はこれからもっと強くなって、お前を追いかけるよ。海兵として。エースが嫌だって言っても、嫌いになっても私はやめない』
次第に潤んだ瞳は強い光を持ち始める。
押さえつけられた手首は押し返すように腕を捻った
『……あの日、私を置いていったことを後悔させてあげるから』