第4章 クジラの背中
「で、そこは無人島でエースは1人で水を集めたり、筏を作ってたりしてたんだ」
『エースは山育ちだからな。』
「チエもだろう?」
いいや、と首を軽く横に振るとデュースは首を傾げてその理由を促した
『今じゃ海兵だが、昔は普通のそこら辺にいる女の子さ』
あの頃は一緒に連れて行ってもらえずに、エースが持ってきたご飯を私が料理する。その程度だった
一緒に連れて行ってもらえるようになったのは、ルフィが来てからだ
「へえ、そうなのか。ガキの頃のエースってのはどんなだったんだ?」
『そりゃあもう、荒れまくりさ。今の方が丸くなった』
「そりゃ、興味深い話だな」
「うんうん、気になる気になる」
「ついでに小さい頃のチエの話もな」
相槌を打ったのはデュースだけではなかった。
『いつの間に……』
この人たち、本気で気配を消して医務室に入り込んできたのか
大人気ない…………
デュースが座る椅子と私が腰かけるベッド、その間と私の背後にぬっと突如現れたのは隊長3人。
「御三方、こんな所で油売ってていいんですかい?」
「いいのいいの」
「俺とイゾウの隊は非番だよい」
「サッチは完全なるサボりさ」
振り返らずともそこに誰がいるのか、簡単にわかる。
四番隊隊長のサッチに、十六番隊隊長イゾウ。それに加え
『マルコさんまで……』
「マルコでいいっていったろい?」
貴方はこういうこと下手に弄らないと思ってたのに
「なんだよ、マルコ抜け駆けか!?」
「1番はイゾウだろうが」
「出遅れたなサッチ」
勝手に話を進めているが、私はデュースと話しているのであって貴方達3人と話しているわけでは……
って、どういう意味だ
「まぁまぁ」
行き先を見失った会話を取り戻すことも変えることもできず、デュースは仲裁役に回った。この船に乗って絡まれたら厄介なのは、明らかに隊長達だろう
上手く交わすので精一杯。チエにはそんな風に見えた
『で、何の用だ』
「まーそう冷たい目をしなさんな」
「俺達も話に混ぜて欲しくてな」
さり気なく私の隣に腰掛けたイゾウは下から覗き込むように、その綺麗な顔をむける。
マルコは私が動物好きと知ってや否や、不死鳥の姿になって私の太ももに乗った