• テキストサイズ

花の詠【ONE PIECE】

第4章 クジラの背中






『……何か』


じっと見つめてくる視線に耐え切れずに、視線を送る主に問いかけた



「いや別に。綺麗な髪だと思ってな」


ニコリともせずにそう告げる彼は、今し方ここへやってきた…確か、16番隊の隊長イゾウとかいう人物。女形で二丁拳銃の使い手。隊長を任されるだけの技量アリということになる


そんな彼が、ここにやって来るなりナースにメイク落としをくれないかと頼んで同じ机の席に座り込んだ


「はい、どうぞ。イゾウがメイク落とし切らすなんて珍しいわね」

「助かる。ちょっとした計算違いでな」


ここのナース達は皆バッチリメイクをして、ナースとは思えない際どい格好でいる。彼女たちも何らかの理由があってここに居るのだろうけど、私と違ってそこまで女を捨てていないということは、ここにいてすぐ分かった






『……まだ何か』



目的のものをもらっても依然として椅子に腰掛けたまま、テーブルに肘をついてその掌に自身の顎を乗せている。視線はこちらに向いたまま、一向に外れる気配がない



「…あんた化粧してないのか?」

『それが何か』


化粧をする習慣は正直言ってない。必要性を感じない。有名な将校や人員募集のポスターじゃあるまい。まだまだ駆け出しの海兵である私に、見た目を繕う必要はないのだ


「まさに"すっぴん"さんだな」


どういう意味?
化粧も何もしていない私は、文字通りのすっぴんだけど


その疑問は顔に現れていたようで、ちゃんとその意味を教えてくれた


「"すっぴん"って言葉は、元々 "素顔が別嬪" ていう意味らしいぜ」


/ 268ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp