第4章 クジラの背中
どうにもむしゃくしゃする。
それが最近のエースの悩みだった。
原因はひとつ、チエの存在だ。
島を離れてから1年ほど経つが、こんなにも激変したチエにどう接したらいいのかわからない。そもそもどうして海軍になんてなったのか、わざわざ危険な道を選んだのか、それが理解できなかった
いや、話すら出来ていなかった
「この船の中にも、あの親父に単価切った姿をみて惚れたやつが何人かいるらしいけど」
「海軍だしな」
「如何せん、可愛げがなくてな!」
後ろですき放題言ってくれる3人にも、だんだんイライラしてくる
チエのことをよくも知らねェでズケズケと…
大体惚れたやつってのはどいつなんだ
客人だからって、何もされねぇと思ってるのかチエは。警戒心ってものがあるんだろうな?こんな大勢いるところで飯なんか食って…大丈夫なんだろうな
「って、思ってるんじゃない?」
「っ、ハルタッ!! 」
フシャーッと毛を逆立てた猫のようになって、ハルタの襟元を掴んだ
「くそっ、何でわかんだよ!おめー心読めるのかッ!」
(図星だったんだ)
(馬鹿丸出しだな)
(バカだからな)
どうやったんだ!とぶんぶん揺らすエースに、3人の心の声が一致した。
(((コイツ、馬鹿だ)))