第3章 risk or safe
エースが私の上を飛び越えたことに驚いて、痛みも忘れて横にごろんと避けた
大の字になっていたチエは、本能的に正体がバレることを察知してか、エースに背を向ける形になる
ジャックはあっという間に気絶させられた。何となく、気配でわかる
ジャックの殺気は、べっとりと纏わり付くような気味の悪いものでそれがふっと消えた感じがして少し気が和らぐ。
しかし、その和らぎには比例しないほど、私の心拍数は上昇する
エースが、そこにいる。
それだけで私はこんなに緊張状態だというのに、アイツ仲間を連れている
そして船長のはずのアイツが、"親父"と呼ぶ人物……。
クルーを息子同然に扱う海賊団がある。海賊王ゴールド・ロジャーらの同世代であり、現世界最強白ひげが率いる白ひげ海賊団…、、
ついこの間名を挙げたばなりなのに…、どうしてそんな大物のところに…。
エースの性格からして、人の下につくなんてこと簡単にしやしないのに。
「よし、次はDr.ヘイブンを潰すよい」
…っ!!
白ひげ海賊団が、Dr.ヘイブンらを潰しに来た……?
白ひげたちとの関係性は何も聞いてないし、知らない。どうして、奴を狙う…、
『っ、、』
ダメだ、血が流れすぎて意識が朦朧とする……
思考が、纏まらない…
「おい!あれ見ろ!!」
海賊の少し焦ったような声がして、皆の意識が一点に向いたのがわかった。
段々、その方向から小さいけれど振動が伝わってくる
徐々にそれが大きくなって、声も聞こえてきた
「少佐ー!!!」
「おい、あれ見ろ!!」
「白ひげ海賊団っ!!」
近づくにつれ、あちらもこの状況が見えてきたらしい。
私が戦っている間に、ちゃんと、呼んできてくれたのか……
「親父、どうするよい……」
「海軍に先を越されたか…引き上げるぞ、バカ息子共!」
影の下にはジャックの海賊船があったはずだが、彼らはそこに飛び下りていった
きっと船を沈めて、自分達のを止めてあるんだろう………
ああ、このまま…行ってしまうのか、、
私に気づかないまま……
ここで見逃せば、次はいつ見つけられるかわからない。
『ま、て……にが、さない…』
刃の刺さった腕を地面について、ほんの少しでも体を浮かす