第3章 risk or safe
私の後ろ1mほど先に、鎖と杭がドサリと堕ちる
『…そっちこそ』
しかし笑ったのはチエの方だった
腰のポケットの所から、勢いよく引っ張り出したそれでジャックは両肩の関節あたりを血飛沫で真っ赤に染めた
「っ!なんじゃ、そりゃあ!!」
『アンタを私に近づかせないための武器』
リョウジュさんに作ってもらったもう1つの武器。三角の小さな旗が連なったような長いひも状のもの。それが2つ
三角の刃は以前より小さくなり、数が増えた
あれから改良して、重さを軽くし、鋭さを極めたのだ
それをらやつ目がけて飛ばし、戻して斬る。
縛るように絡ませ、刃を全身に食い込ませる
『もう、逃がさない』
これでもう動けないはずだ。
「ひっ、それはどーかな……?」
ニタリと気持ちの悪い笑みを浮かべた瞬間、奴に刺さっていたはずの私の刃が全てこちらに飛んできたのだ
『っ!?』
どうして、そんなことがっ!!
状況に頭が追いつかなかった。考えるよりさきに、全身に痛みが跳ね返ってきて、思わずしゃがみこんだ
足、胴体、腕、頬…様々な所に、さっきまでジャックに刺さっていたはずの私の刃が、自身の体に刺さっている
「俺の、体は武器でいーっぱい……はぁ、いろんな仕組みも、あんだよなー、それが」
息を切らしているところを見ると、お互いかなりダメージを負ったらしい
大丈夫、私の攻撃も効いてる……あと、少し、あと少し頑張ればきっと、、、
私は腰に刺してある長剣を抜く。
距離を詰められない長剣では、一気にジャックを仕留めることは無理……
『でも……っ!!』
まだやれる、ここで倒れれば、部下が死ぬ!!
地面を蹴り、脇を締めて最小限のモーションで剣を振るう。確実に奴の懐に入らねば、奴は斬れない
「おっとぉ、、いい剣さばきだが、……ここが1番、痛てぇんだろっ!」
『ぁああっ!!』
まだ刃の刺さった脇腹に、上から踏んづけられるように蹴り飛ばされる。
「「「少佐!!」」」
こいつらは一等兵……まだ本線で戦う術を知らない…、まだまだ可能性があるこいつらを逃がさないと、、、
『逃げ、ろ、お前達…ここは、私に任せて』
深くまで刺さった刃に手をかけながら、起き上がる。
もう腕も足も、血で真っ赤だ。