第3章 risk or safe
「おいおい、今の一撃でしゃがみ込むなんざァ、か弱い女の子でちゅかー?…ああ、お前は女だったな、そーいやよ」
ほざけ、猟奇海賊が、
心の中で悪態をつきつつも、しゃがみ込んだことで駆け寄った近くの兵に伝えることが出来た
『合図したら走れ』
たったその一言で理解したようだった。
何度もこう言う訓練はしているはずだからきっとうまくやれると信じてる
『あぁ?誰が ''か弱い女の子'' だって…?』
「いいねぇ、その顔……最っ高にそそるぜぇ……っ!!」
ゆらりと立ち上がったチエの顔にはぴきりと青筋が立っていた。これは演技じゃない、紛れもない怒り。女と馬鹿にしたジャックへの、純粋な怒りだ
先に攻撃を仕掛けたのはこちらだった。それと同時に、『行け!』と兵を走らせる
短剣を両手に持って奴の両腕を切り裂く。
そのまま足を狙うが、かわされてしまう
「くっそぉ、、痛てぇじゃねぇかよっ!」
『……っ!』
やつは懐から小さな刃をトランプのように広げ、近距離ながら、チエへ投げつけた
何枚かは叩き落とせたが、数枚腕と脇腹に刺さった
割れたガラスのような小さくて薄いもので、抜こうにも全部が刃になっていてても切れてしまう
それでも、力を振り絞って、体から刃を取り除く
『っ、はぁ……っ、』
「まんまとやられたぜ、兵を庇って避けれた刃までその身に受けるとはなぁ」
まだ、やれる。
もう一度、地面を蹴り持っていた短剣を振りかざし、かわされる。大きく後ろにのけぞったジャック目掛け、振り下ろした短剣を手首のスナップをきかせて低い位置から投げつける
「うぉっ、」
やつがそのナイフを自分のナイフで防ぐ、コンマ数秒。両脇のポケットからリョウジュさんに作ってもらった新しい武器を取り出す
杭のようになったそれは、側面が丸く見えるが全て刃で切れ味は最高潮。
互いの刃と刃がぶつかり、金属音が鳴り響く
鎖で繋がれた2本の杭、それをまとめて持って今度は鎖を振り下ろす
「こりゃ、食らったら死にそうだ」
地面にめり込んた鎖を見て、ジャックが言う
こちらはそれに間髪入れずに、刃を向ける
「だが、まだまだ甘ちゃんよォ!」
『っ!、しまっ……!!』
柄の部分をナイフで突かれ、するりと手から抜けた