第8章 Pandora
本気か冗談かもわからないが、この人なら本気になったら本当に落としに行きそうだ。ただでさえ、自分とチエ の中はギクシャクしているところだから、正直邪魔されたくない
少しジト目で彼を見つめていると、指示が終わったのか再び座って、思い出したように言った
「そういえば、お前白ひげのところの2番隊隊長になったんだってな」
「あ、ああ」
突然の話題転換に戸惑ったが、そういえば以前会った時にはオヤジの首を取ると宣言したのだった。それが今やその人の息子として、一隊長を担っている。
「がっはは!噛み付いたら逆に飼い慣らされてやんの」
「うるせぇ!飼い慣らされた訳じゃ…!」
ない、と言いきれないのは白ひげに対する数々の恩を思い出したからだった。今回のこともしかり。あの懐の広い人に自分は何度恩を受けたのだろう
「だが、白ひげの気持ちも分かる。お前に“あの”2番隊の隊長に付かせたんだ。」
「どういう意味だ?」
2番隊の隊長になったことが何か意味するのか全く検討もつかず、首を傾げてみせた。するとシャンクスも唖然とした顔をして言った
「聞いてないのか、おでんさんのこと。」
おでん?
エースはまた更に首を傾げた。自分はまだ白ひげの船に乗って月日が浅い方だが、隊長になるまでに色々と船のことは聞いてきた。
それでもその名前は聞いたことがなかった
「誰なんだ、その人は」
シャンクスは少し呆れた顔をしたが、「まぁいい」と言って少しだけ口角を上げた。
「おでんさんは、白ひげ海賊団の最初の2番隊隊長であり、ロジャー船長と最期の旅を共にした人だ」