第8章 Pandora
「懐かしいな…」
シャンクスは昔のことを思い出しながら、再び酒を煽った。フーシャ村で呑んだ酒が懐かしい。
あんなに人見知りで、大人しい子がルフィやエースの幼馴染だとは。一緒に生活しているところは中々想像出来ないが。
「チエ はなかなかやるようだな」
ニヤリとエースに目配せすると、意味が通じたのかエースは顔を赤くした。
「…まだ、そんなんじゃねェよ」
「 “ まだ ” ね。」
揶揄うシャンクスにエースは悔しさを覚えながらも、本題を進めた
「助けて貰って恩に着る!そういうわけだから俺は先を急がせてもらうぜ」
エースは立ち上がり、自分のストライカーに飛び乗ろうと舷へ足をかけた
「まて、エース」
しかし赤髪はそれを呼び止めて言った
「俺達も協力しよう。チエ のいる場所に心当たりがある」
「本当か!でも、俺のストライカーで行ったほうが早い」
「まぁ、そう焦るな。このまま行けば2日で着ける」
でも、となかなか引き下がらないエースにシャンクスは言った。
「チエ のいる場所は、そのビブルカードだけじゃ入れない。」
「え?」
彼の言葉を聞いて、エースは1度固まった。
入れないとは、どういうことだろう。チエ はどこかに囚われているのだろうか?ビブルカードで位置がわかっても、そこに辿り着けなければ意味が無い。
「まさか、本当にインペルダウンじゃねェだろうな」
「さすがの俺もあそこには行きたくないさ」
シャンクスは首を横に振って、次のひと口を運んだ。エースは説明を待ったが、彼は自分の目を見てくるばかりで話す気がしない
(座れってことか?)
大人しく元の場所に座ると、シャンクスは満足そうに口角を上げた
「いいか、あの島に入るには本来“鍵”が必要なんだ」
「鍵?」
ルーキーとは言え、自力で新世界まで行った自分でも鍵が必要な島なんて聞いたことがなかった。