第8章 Pandora
船上は瞬く間に宴会場へと姿を変えた。
酒を注ぎ込み、料理を運び、船員は忙しなく動いている。そして、船長であるシャンクスは堂々と床に座って、木のジョッキを勢いよく傾けた。
「ぷはぁ〜!エース!お前も飲め」
「いや、俺は……」
話を聞くと言ったが、宴をしたかっただけにも見えて、エースはやはり自分一人で先へ進もうかと考えた。
しかし、立ち上がる前に目の前に食事を出されると、急に自分が何も食べていなかったことを思い出してしまう
「まずは飯食え。お前倒れるくらい飛ばしてきたのか」
酒瓶を片手にして隣に座ったのは、シャンクスの右腕であるベン・ベックマンだった。
「数えてねェけど…2週間くらい?どのくらい倒れてたかもわかんねェ」
「だははははっ!お前バカだなー!とりあえず食え食え!」
すっかり酒が回ったようで、シャンクスはエースの肩をバシバシ叩きながら目の前の食事を進めた。エースもさすがにこのままでは自分の身が持たないと悟って、食事に手をつける
すると、今まで食事していなかった分、体が勝手に動き、次から次へと口へ運んでしまう
「いい食いっぷりだ!」
それをシャンクスたちは笑って見ながら、自分たちも豪快に酒と食事を口へ運んだ。
エースは床に新しい食事が置かれる度それを空にし、その勢いは止まることがないように思えた
が、
突然ガックリと首を落とし、まだ食べかけの皿に顔を突っ伏した
「だははははっ!コイツ寝やがった!」
「食いながら寝るなんて…器用なやつだ」
以前“挨拶”に来た時は、もっと生き急いでいて、その目に映るのは目の前の酒や飯などではなかった。まだ白ひげの船に乗る前の話。
あの頃に比べると、少しは息がしやすくなったんだろう