第8章 Pandora
部屋から拉致された時に、上手く紛れ込んでいたのか、それとも一緒に拉致されていたのだろうか
とにかく絶望的な状況に、唯一癒しと呼べる存在が現れた
『ラルー…!!』
「きゅっぅ、」
船の上では走って駆け寄ることは出来ないけれど、手を伸ばし、身を寄せてラルーを抱き寄せた。
(1人じゃ……ない)
胸の中で、温かな体温を分け与えてくれたと同時に、安心に似た感情がふわりと舞起きる。
1人じゃないと思うと、それまでの暗い思考がほんの少し、温かみを帯びた気がした。
『なんでこんなところに、、』
「キュ……」
不思議な顔を浮かべると、ラルーは何故か申し訳なさそうに視線を下げた。
そんな顔をすべきなのは、きっと私の方だ
『……巻き込んじゃったね。』
ごめんね、と言いながら小さな頭を撫でた。無理やり袋に詰められていたのか、綺麗な真っ白い羽が所々跳ねている。それを手で撫で付けながら、ラルーの出てきた袋に目をやった
(ん?)
ラルーが飛び出てきた時に中身も少し出てしまったんだろう。りんごや飲水の入れ物野中に紙のようなものが紛れていると気づいた。
拾ってみると、それは4つほどに折り畳まれた1枚の手紙であった
『差出人は…』
名前は書かれていなかった。けれど、中身を見てすぐに気づいた
『元帥が、これを…?』
船の上では突き放すように言っていたが、もしかして“言えなかった”のだろうか。見たことのない軍艦に、見たことのない制服で私兵かとも思ったが…もしかしたら世界政府直属の部隊だったのかもしれない
書かれていたのは、簡潔なメモだけだったが彼の真意は読み取ることが出来た。
センゴク元帥もガープ中将の意をくんで、これまで私の存在を五老星に報告していなかったらしい。しかし力の発現でそれは免れなくなり、現在に至った
一族の里に行くには“鍵”が必要だと書かれている。ルノウェ は鍵を持っているから、無条件で島にたどり着ける。しかし他の人間は内側からの解錠がなければ入れないようだ。
外部からは消して見えず、入ることも出来ない幻の島がルノウェ 一族の里なのだという