第8章 Pandora
唖然としたまま、視線を下げるとそれに合わせてかセンゴク元帥が、すぐ側で膝を着いた
「……ガープがお前のために動いている。もし、お前が処分の対象となればアイツが何をしでかすか分かったものでは無い。無論処罰も軽いものでは済まされない。わかるな」
そうセンゴク元帥は、何度も私に理解を求めた
ガープ中将の無茶は今に始まったことではない。けれど、その限界が今目の前にぶら下げられている
全て私の肩にのしかかっている
『ですが…っ、どうすれば、よいのか……』
「それを3ヶ月でどうにかするのだ」
萎んでいく声を叩き切るように、元帥はピシャリと告げた。
有無は言わせない、そう言ったはずだと圧をかけてくる。これ以上無駄な口を開かぬよう、睨みをきかせながら。
(自力で何とかするしか、ない……)
それ以外生きる道はない
「元帥、準備が整いました」
絶望の淵に立たされた時、1人の海兵が元帥の元に近寄ってきた。普通の一般兵ではない。この船も特別なものなのか、今まで見た事のない軍艦だった
「どこへ向かっているのかと聞いたな」
『え?はい』
自分に話しかけられたのと、遅れて気づいたせいで返事も半テンポほどズレる。しかも1番最初にした質問をまさか返されるとは思っておらず、思い出すのに一瞬時間を要した
「ある島に向かっている。そこには限られた人間しか行くことが出来ない。」
そこは、政府によって制限された島なのだだろうかと一瞬思う。しかしその後に続いて出た言葉を聞いて、チエはまた言葉を失う
「そこはルノウェ一族の里。その血を引くものにしか分からない場所だ」
『……っ、、』
もしそんな場所が存在するのならば、私が思い当たるのは1箇所だけ
ガープが話してくれた、母アリエの故郷
ある日突然海賊に襲われ、母以外助からなかったという、惨劇の場所。そこであるならば、何の因果か
それもルノウェの血の運命とでも言いたいのか
目の前に次々の突きつけられる現実は、どれ1つとして逃れることの出来ないもの
身体はもう動くことが出来なかった