第7章 追ひ人
「あっ、来たぞ!」
「おい、エースあれみろ」
甲板に出るなり、仲間に引っ張られて船の後方まで引き摺られる。ざぷん、ざぷんと揺れる波を見て何となく、嫌な予感がした
「見つけだぞ、エース!!!」
「じっ、ジシイ!?」
船の後方には、船頭に骨を加えた犬と、カモメのマークを背負った白い帆がハッキリと見える。そして、その犬の頭の上で、馬鹿デカイ拡声器を持っているのは、間違いなくルフィの祖父、ガープだ
「貴様、よくもわしの可愛い孫を泣かせてくれたな……ッ!!」
「なっ、……!なんで知ってんだよジジイ!!」
「ジジイとはなんだ!じいちゃんと呼べ───!!!」
すん、と頬の横を風が切った
刹那、右方の海が爆発し、船は大きく傾いた
あのジジイ、大砲の玉を素手で投げてやがる!
しかも、本気で俺を狙っている
「なんて、無茶苦茶なジジイだよい」
そこへ翼と足のみ不死鳥に変化したマルコが飛んできた。他にもさっきまで一緒にいたイゾウやサッチも加わる。
「お前、ガープの孫か?違うよな」
「あぁ、弟のじいさんなんだ」
ガープは赤子の俺をダダンの元へ預けた張本人だ。チエや、ルフィが来る前からちょくちょく様子を見に来ていた。小さい頃の記憶はそんなに残っちゃいないが
「可愛い孫を泣かせてくれたなって、おい、まさかチエも孫なのか!?」
「ジジイはチエの後見人で、血は繋がっちゃいねェが、孫みたいなもんだ!」
次々に飛んでくる大砲の玉をなぎ払い、船を守りながら、仲間に説明する。容赦なく降り注ぐ大砲が、ウザったくてだんだん腹の底がムカムカしてきた
「おい、ジジイ!なんのつもりだ!!」
「なんのつもりもあるか!!!今すぐ沈めてやるから大人しくしておれ!」
拡声器が壊れるほどの声量は、もちろん船の全体へと響き渡っていた。英雄ガープのお出ましとあらば、黙っている訳にはいかない。そう思ったのか、とうとう親父までそこに姿を現した