第7章 追ひ人
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天候もよく、波も穏やかな海に白い筋を残していくクジラの船
外の晴れ晴れとした天気とは変わって、船の中はいつも騒音にも近い声で溢れている。
食堂では4番隊のメンバーが、二日酔いのクルーや、半端な時間に飯を食いに来たクルーたちを遇い、忙しなく動いていた。
そんな中で、1人昼食にありつく上裸の男
否、エースが黙々と食べ物を口に運んでいた
「まだ引きずってんな」
「だな。寝ねェで食ってやがる」
サッチは、その様子を厨房から密かに見守っていた。前もチエのことで悩んだアイツは、意識を保ったまま飯を食っていた。今回もきっと悩みの種は同じ。
エースの想い人、チエのことに違いない
チエが船を降りてからもう幾日も経つというのに、ここ最近のエースは何かと憂いた顔をすることが多いのだ
「ごちそーさん」
少し目を離した隙に、エースは立ち上がりカウンターの前を通り過ぎようとした。
「おう。足りたか?」
「ん、今日も美味かった」
引き留めようと声をかけてみるが、エースは歩きながら答えて、そのまま出ていってしまった。
「.............」
一緒にいる日がまだ浅くとも、同じ釜の飯を食う仲間。やっぱり心配が勝る
(うん、オレいい男)
なんつって、と1人でツッコミながら厨房をほかの隊員に預け、後を追った。