第7章 追ひ人
意識が微睡んで、脳の奥底に沈んでいた深夜零時。規則正しく聞こえる寝息は、一人と一羽によるもの
(………………)
しかし海底に沈むように、眠っていた意識はふとした拍子に浮かび上がった
忍び寄ってくる何かに気づいたのである
『! っ、むっぐ、、!!!』
突然口元に圧がかかって、意識は飛び跳ねるように覚醒した。咄嗟の出来事にパニックになり、身体は押さえつけてくる何かから逃げようとジタバタ藻掻く
『ふ、んぐっ、っ!』
暗くて何も見えない
誰かが自分の口を押さえつけてくる
わかるのはそれだけで、一瞬にして記憶はヘイブンに連れ去られた洞窟の中へと暗転した
【ほら、いい子にして】
そう言いながら、口元を歪め肉を抉る奴がチエの目の前はにいる
『ふっ、ふ、ぐっ、、、』
全身から冷や汗が吹き出すのがわかった。しかし藻掻いても、もがいても、拘束は解けない
恐怖だけが骨の奥まで染み込んでくる
しかしそれも時間の問題で、口と鼻を押さえつけられたチエはそう長く持たずに意識を手放した。