第3章 risk or safe
広い軍艦の中で、私たち3人が居たのは船の後方付近。霧は前方からきた。
船の正面にはモモンガ中将ら3人がいる。船が霧に正面から突っ込んだとは考えにくい。
だとすれば、左右から霧が入り、中心部から前方と後方へ回ってきたということになる。
つまり、この毒の霧をばらまくには2方向から出なければならない。悪魔の実や、自然現象の霧じゃないってことだ。
きっともう既に、この軍艦は2つの海賊船によって挟み撃ちにされている……そして、この霧は恐らくDr.ヘイブンが開発した毒ガス装置の1つ。
船にあるその装置さえ壊せれば、勝機はある
『モモンガ中将!』
船のマストの辺りまで来ると、モモンガ中将が周りに指示をだしている所だった
「状況を説明しろ!チエ少佐!」
『はっ!恐らく、もう既に敵の船に挟まれています!敵船に、この毒の霧を出している機械があると思われます!』
そう言い終わるや、否や、船の左右からフックが飛んできて、黒い大きな影が複数飛んでくる。
敵襲だと判断する頃には、もう怪我人が出ていた。
突然の攻撃に、毒で倒れていた海兵や、無事だった者が戸惑い焦りながらも、剣を振るうが片手で口元を抑えているため動きが鈍い
(あれ……?)
戦いの中を潜り抜けている中で、覚えた違和感。
なんだろう、これ
何かがおかしい…
『あっ!』
わかった、全ての謎が。どうしてこの霧に気づかなかったのか、襲ってくる敵船を見つけられなかったのか、Dr.ヘイブンとブラッディ海賊団はどこにいるのか!
私は人と人の間を走り抜け、海を見る。
(やっぱり、あった)
『モモンガ中将!今すぐ陸に何人か向かわせてください!』
チエは口も抑えずに、ガスの中声を張り上げた。
「どういうことだ、説明しろ!」
戦いの騒音の中、2人の声が荒らげる。
『敵は既に上陸して、取引を始めています!ここに居るのは、ブラッディ海賊団でもDr.ヘイブンの手下でもない、ただの雑魚海賊です!軍艦のすぐ脇に小さなボートがありました。奴らはそれで我々に近づき、この毒ガスの煙玉を打ち込んだと見られます!』
まだある。もうひとつの違和感、それは
『奴ら、この空間にいても口を覆っていません!!』