第3章 risk or safe
……落ち着かない。
緊張はしているが、そうじゃない。
何か、……胸騒ぎがする
これが“嫌な予感”というやつなのか、ザワザワと胸の中を侵食し揺れる
「見えてきましたね」
座り込んだ私の横に、たしぎさんが来て刀に手をかける。
もう着いたのか、そう思った時だった
「わっ、なんだこの煙は!!」
船の中に突如として現れた青紫の煙……いや、霧だ
大佐たちの警戒が強まる中、一等兵がバタバタと倒れだした
『たしぎさん!ガスです!!』
私の言葉にはっとして口元を抑えるたしぎさん。そこへ、下半身を煙にしたスモーカー大佐が飛んでくる
『上空は』
「ダメだ、もうこの霧の中に入っちまってる。島どころか周りの海でさえ見えねぇ」
葉巻を3本ふかして、ギリリと噛み締める
敵はどこから来るかわからない
『一旦モモンガ中将の元に…』
「馬鹿野郎!一手に集まって後手に回るのはこっちだ!このまま迎え撃つぞ!」
スモーカー大佐の真剣な顔付きと怒鳴り声に、頬を叩かれたような気持ちだった
(落ち着け、冷静になれ)
先程からずっと胸の奥にある違和感。その嫌な感じが引き金となってか、いつも道理考えられない
その同様を見抜いてか、スモーカー大佐は私に船の様子を見てこいと言った
『え、でも迎え撃つんじゃ…』
「俺とたしぎで十分だ。お前は周りを見て、現状を把握しておけ」
あんなにギラついた目で睨んでいた彼が、急に頼もしく見えた
格が違う
そう感じさせるほどの威圧感と、腕っ節の強さが私と彼の差をくっきりと映し出す
私にはまだまだ経験が足りなさすぎる
口元を抑えたまま、霧の中へ飛び込んだ
見極めなければ。この現状を
今、何が起こっているのかを