第6章 折れた翼、落ちた羽
そんな……、そんなことが、、
『っ、待って....急に古代兵器に匹敵するなんて言われても、じゃあ、私は……』
あのヘイブンを殺した力や、全身の傷が治ったこと、今まで起こった不思議なこと全部は、ルノウェ一族の能力だっていうの
あまりに莫大な情報に、戸惑いが溢れ出た
「…全て、真実じゃ」
『は、、』
ガープの言葉は、表情は、嘘偽りなど何一つなかった。それが余計に、現実を目の前に突きつけてくる
(……やっぱり私は、化け物なんだ)
なら、どうして
『……母は、なぜ』
私の前からいなくなったのか
自分の力が世界の驚異になるものと知っていながら、同じ力を継ぐ娘を、.......たった1人にして
もし、自分に母親がいたら
あの家に、母がいたら
何度そう考えただろう。父に殴られる度、父が眠るまでシーツの中に隠れる度、自分を助けてくれる存在を願ったことだろう
「そうじゃな、、話はお前を産む、もっと前に遡る」
そう言って、ガープは一層遠くを見つめた。
*
時は遡ること、27年前
一人の少女が海に漂流していたのを拾った
名をアリエと言って、まだ14歳の子供だった
「どうした、遭難でもしたのか」
そう訪ねると、アリエは島から泳いできたのだと言った
話を聞くと、故郷の島を海賊に襲われ、彼女だけが命からがら島から逃げてきたのだそうだ
「にしても、この近くに島なんて…」
「一体何キロ泳いできたんだ、、」
周りの海兵も絶句する中、アリエは疲れも見せず、ただ黙って毛布にくるまっていた
「安全な島まで乗せていってやるから、しばらくこの船にいるといい」
返事はなかったが、その娘はしばらくこの船に乗っていた。
けれど、一月経とうが三月経とうが一向に笑顔を見せることは無かった。