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花の詠【ONE PIECE】

第6章 折れた翼、落ちた羽



イスカさんは、紛うことなき後者であった。私も、そういう人が善なのだと思う。


「じゃ、後のことは任せる」

「はっ!お勤めご苦労様です」


密売人を駐屯地に突き出し、預けると船への帰路を辿っていく。私はその背中を追うだけで、何も話さなかった。



私には、彼女のように信じる善がない。ないと言うより、分からない。

海賊は悪、海軍は善
その定義すら、私には見合っていないと思っている

ただ、Dr.ヘイブンのような、人を人とも思わないような奴は、悪だと言いきれる。

…けれど、奴を殺したのは、海兵としては間違った判断だったのかもしれない

人を人として扱うのが善ならば、私があいつを殺した行為は紛れもなく悪だ

正直、あの時のことを自分でもちゃんと覚えてるわけじゃない。ヘイブンに言われた言葉が、ずっと頭の中にあって、嫌で嫌で仕方がなくなった。エースが何か言っていた気がするけれど、それも覚えていないほど頭がいっぱいだった。

気づいた時にはもう、ヘイブンの頭を緑の雷撃が貫いているところだった


あれは、一体なんだったのか

幻覚でも、本物雷でも無いと何となく理解している。証拠があるわけでもないが、自分の中には確信に似たものがあるのだ。だからこそ早く知りたい、この体のことを


「その鳥、どうするつもりだ?」

『あ、、飼う…のはダメかな』

イスカさんに聞かれるまで、全くもって忘れていた。というより考えていなかった

動物は大好きだし、昔から触れ合ってきていたから何となく連れ帰ってきたけれど、育てたことは1度もない

マントをめくると、不安そうな青い瞳が下から覗き込んできた。

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