第3章 risk or safe
リョウジュさんに連れられて、奥の部屋まで行くと、部屋の中心にガラスケースがあった
「コイツは装飾までこだわった一品よ。2本の杭を1.5mの鎖で繋いどる」
『接近戦から中距離戦向きか……私向きだな』
杭の柄の部分には幾何学模様の装飾。鎖との繋ぎ目には青の宝石が埋め込まれてる
『これは?』
その宝石を指してみせる
「拾った」
思わぬ回答に、間が抜ける
『拾ったってなぁ……どう見たって高価そうじゃないか』
「高価でも何でもないわい。浜辺に行けば落ちとるぞ」
『浜辺?』
浜辺にそんなに落ちてるものなのか?こんなに宝石みたいなのが?
貝殻とかならまだしも
「これはただのシーガラスじゃよ。デカいのが落ちとったから磨いてはめたら、ほぉらピッタリ」
まるで魔法をかけたような手振りでおどけて見せるリョウジュ
『シーガラスって、あれか?海に流される間に削れて石みたいになってる…』
「そう、それ」
『へぇ…こんなにも綺麗なるもんなのか』
そう言えば昔集めてたな…
誰が一番大きいものを見つけられるかの競走をして、そのうちルフィが関係ないものを拾い出しちゃって
エースやサボがその尻拭いをする、そんないつもの光景だった
結局、最後まで探してたのは私だけだったっていう…
「お前さん。いつも大事に持っとるじゃろ。磨いてやろうか?」
『っ、なんで知って…っ!』
「無駄に長生きしとらんわ」
最後まで見つけられなかった私に、エースがくれた緑のシーガラス
何の値打ちもない、ただのガラス玉なのに私はそれを肌身離さず持ち続けてる
『…じゃあ、磨いて首からかけれるようにしてくれないか』
「お易い御用」
リョウジュさんにそれを渡す
エース以外の掌に乗るのはなんだか新鮮に見える
今までずっと私の掌にあったから
『どれくらいかかる?』
「一時間もあればちょちょいのちょいよ」
『じゃあ、それまでこれ試していい?』
先程まで見ていた新作を指す
「おう。構わんよ」
そう言って壁際のパソコンのキーボードを弄ってガラスケースを開ける。
私は中身を拝借し、藁人形の所へ戻った