第6章 折れた翼、落ちた羽
地下から、来た道を登って甲板へ戻る。
どの軍艦も同じ作りなのに、初めて乗った気分だ。ほとんど本部勤めで、軍艦に乗る時は任務に出る時くらいだったので、変に緊張感が走る。
「ひとまず、何人かDr.ヘイブンの遺体回収に回させる。誰かいるか!」
モモンガ中将は、再び静かになった甲板で人を呼び付け、地図を持ってこさせた。持ってきたのは、髪が肩につかないくらいの女海兵だった。
夜で暗いとはいえ、海を照らす照明のおかげで少しは視界が明るい。けれど、その女海兵の顔に見覚えがなくて、内心首を傾げる。
「この島の地図だ。どの辺が詳しく教えてくれ」
彼女から受け取った地図を、解いて私に差し出す。
思わず受け取るが、中将の発言に戸惑った。
『えっ、私が案内すればいいのでは……』
こんなこと、みんな階級の低い部下にさせることだし、そもそも私が案内すれば地図もいらないのに
「いや、お前はこの船にいろ。もし万が一息を吹き返したりでもしたら、部下だけでは対応しきれないだろう。」
『ですが……』
そうは言っても、顔もわからないのに本当に行かなくていいのだろうか。さっきの私の様子を見て、気を使ってくれているのならもったいないのだが…
「ここはお前と、イスカに任せる。明朝までには回収し、戻ってくる」
えっ、、
(いま、なんて……)
「はい、了解しました」
返事をしたのは私じゃない。
凛と鈴を鳴らしたような声で、私の頭の中に嫌に残る。
地図を持ってきた、女海兵の顔をもう一度よく見た。
(この人が、、イスカ、さん……)
モモンガ中将の言葉に、間違いなく頷いたのは、目の前のこの女海兵だ。
本当に、来ていた
私が彼女の椅子に座り、そして今は、彼女が座っている。
私がどうしても、エースと合わせたくなかった人
この人が、釘打ちのイスカ