第5章 カ タ チ
「どいてくれ、チエを医務室に運ぶ」
心配そうに声をかけてくれる奴らには申し訳ないが、急いでる
焦りを隠しもせず、エースは周囲に通すよう告げた
しかし
「医務室は今、マルコとイゾウの緊急オペで塞がってる」
「チエも手術が必要なのか?」
ジョズとハルタが、焦るエースを止める。
とにかくすぐにチエを苦しみから解き放ってやりたい。その思いがいっぱいで、ハルタたちの言うことが理解できなかった
「は……?マルコと、イゾウがオペ?」
イゾウはまだしも、ロギアでしかも不死鳥のマルコがオペするほどの大怪我を負ったのか
「チエの具合はどうなんだ…!」
中々答えないエースに、ハルタは責め立てるように尋ねた。本当に重症を負っているのなら、すぐに手当しなければならない。
どうしたものかと思考をめぐらせる。正直に状況を話して、改善策を求めるのが正しいはず。だが、チエが拒むようにこちらに身を寄せるので言うに言えないし、俺も言いたくはない…
誰にも、チエを、、
……女のチエを見せたくない
ひとまずチエの部屋へ運ばう
そう思った時、見張り台から割れるような大声が響き渡った
「かっ、海軍だー!!」
その言葉に1番反応したのは、海兵であるチエだった
ビクリと肩を揺らし、エースの肩を掴んでいた指がさらに強く握られる
まさかこんな時に海軍が攻めてきた訳ではあるまい。親父を敵に回すはずがないし、こっちは今それどころでは無い
しかし、万が一ここが戦闘になってはチエを巻き込んでしまう
兎にも角にも、チエを部屋に運ばなくては。
そんな使命感に駆られ、エースは足早にチエの部屋へ向かう
その間もずっと、チエの手はエースの肩を強く握っていた