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花の詠【ONE PIECE】

第5章  カ タ チ





この島は崖の多いボコボコな島で、海岸線は緩いカーブもあれば急な丸みのある崖が飛び出ている箇所もある
その崖からギリギリ見えた俺たちの船。船の先端が少し見えるくらいだったが、走ればきっとすぐだ

エースはチエを抱えて立ち上がる。顔面から倒れたせいで、顔は砂まみれ

滅多に拝めない間抜けな姿に、笑みを零しつつ、砂を払ってやる

『ん、、』

くすぐったかったのか、チエは腕の中で身を捩り、微かにくぐもった声を上げた

いつもは聞くことのない、高い声
無意識に肌が粟立つ

そういえば、海から上がった割にチエの体温が高い

……ヘイブンに盛られた薬の効力は、どのくらい続くのだろうか。もし、眠っていても辛いのなら、起きたらなおのこと辛いのではないだろうか

チエが目を覚ます前に、デュースに見せよう。

仲間への連絡をすっかり忘れ、エースはモビー・ディック号へ向かった










チエとエースが、囚われていた頃
マルコたちは……



(クソっ、力…入んねェよい…っ)

自分の仲間たちに縛られ、船まで担がれていた。隣で担がれたイゾウは、チエの姿のまま歯を食いしばって耐えている

情報を吐かせるため、と伝えると部下たちはイゾウを縛る前に止血した。できた部下だと内心褒めつつ、なんで気づかねぇんだと同時に罵る


違和感はかなりあったはずだよい



街から離れ、浜辺に着くと、部下たちは2人をそっと下ろした。


「?」

不思議がっていると、部下のふたりがマルコとイゾウの前で膝をつき頭を下げた


「すいませんっ、マルコ隊長!今すぐ解きます!!」

「船へ連絡したので、チエは着き次第医務室へ運びます!!」


突然のことで、マルコは思わずたじろいだ。内心気づけと言いつつも、いざこうして言われると逆に疑いたくなる

しかし、2人の緊迫した表情にその疑いも薄れる
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