第5章 カ タ チ
白ひげだけではない。
その言葉が何を意味しているのか、わからなかった
「僕は、白ひげの首と引き換えに七武海になる」
私の意思に答えるかのように、ヘイブンは言った。息を吐くように、ごく当たり前のことを言うように。
『……本気で、…言っているのか』
世界最強と言われる男の首を、そう簡単に取れるはずがない
Dr.ヘイブン1人では到底無理だ。薬の力を借りたとしても、自分の兵隊を作れたとしても、世界最強の名を背負う男の海賊たちに適うとは思えない
Dr.ヘイブン、1人では。
「1人じゃない。僕は海軍と取引をし、交渉は成功した」
『…!?』
まさか、と心の中で疑った。頭を鈍器で殴られたような気分だった
白ひげは打てない。首は取れない。世界最強を怒らせないことで、均衡を保とうとしてきた海軍が、まさかこの男と結託して動いているというのか
この、ヤク中男のために……?
残虐性の塊を、自信の腹の底に沈めていながら、狡猾で、頭のキレる慎重な男だ。こんな男を七武海なんかにしたら、世界は、……私が受けた、この地獄は…
誰も、何も報われない、、
そもそも、ベラベラと目的を話すということは、もうここから……一生出すつもりはないのか
……そんなの、嫌だ
「ああ、そうだ。今向かっている軍艦には君の知り合いも乗っているぞ。」
私の情報をスキャンしているなら、私に知り合いと呼べる人物は少ないと知っているはずだ。
わざわざ言うのは、そのごく一部の大事にしている人だからなのか
……でもそうなら、心配入らない
私より優れた海兵ばかりだから
「なんだっけな…そうだ釘打ちのイスカだ」
『!?』
ヘイブンが口に出した名前は、予想だにしなかったもの。思わず息を飲むが、すぐにそんなはずは無いと否定する。
だってあの人は私が、、
こんな所に、いるはずがないんだ