第5章 カ タ チ
『…っ…!』
ひゅっと喉がなった。全身の骨が、カチコチになってガタガタと震え出した
自分でも見てわかるくらい、体がガタガタ揺れるのだ。止めようと思っても、全然止まってくれない
「記憶は飛んでも、体は覚えてるみたいだね。やっぱり反応してくれると楽しいなあ」
ヘイブンは心底楽しそうに言う。そうして拘束された腕を、血が止まるほど強く握ってくる。触れられた箇所が、気持ち悪くて仕方がない
『い、いやだっ、触るなッ!』
冷たいとか痛いとか、感覚が全て恐怖に染まってる、
ダメだ、本当にこのままじゃ、、
やめろっ、後ろ向きになるな、、
考えろ考えろ考えろ……っ
「必死に抗う姿、とってもいいね。これで死んじゃったらどうしよう?ああでも止められないっ、ダメとわかっているものほど壊したくなっちゃうの、わかるでしょ?」
ニイッと釣り上がる口元
綺麗すぎる白い歯
ダメだ、逃げられない
絶望に落ちるとは、こういうことを言うらしい。
「あれー、まだ死なないな。君どんどんしぶとくなってない?」
『……ひゅっ、ごふっ、、』
血が止まらない
声が出ない
叫びすぎて、喉が潰れた
泣きすぎて、涙が枯れた
両肩から先が、無くなった
床には無造作に転げ落ちた“元”両腕が、半分血溜まりに身を沈めている。
足はある。指はない
至る所を切り裂かれた、変な薬も飲まされた
寄生虫も入れられた。
食い破られた内臓は、切られた箇所から少し出てる。
何も、思い出せない
痛みだけが、更新されるだけで
恐怖だけが塗り重ねられるだけで
何を思えばいいのか、わからない
怖い……
怖いよ、
「そうだ。次はこれにしよう」
『あああぁああぁぁあ……っ!!!!』
痛い、痛い痛い
もう、嫌だ
嫌だ、嫌だっ、いやだいやだ!!
『いやぁああぁぁあ……ッ!!』