第2章 名前
(ポイントを少し過ぎたな)
『今だ!』
第2班が崖から飛び降り、奴を追い始める。
その距離約30メートル
私たちと奴とは30メートル未満
船まであと、数百メートル……
確実に私に狙いを定めつつ、コイツを船までうまく誘導できるのか……
プルプルプル
そんな時、電伝虫が鳴った
『はい、コチラ陽動班』
【こちら連絡班。第3ポイント確保しました】
『了解。あと数分だ。頼む』
【はっ!】
第3ポイントで奴を上手く巻き、退散を装う
頼む…っ、上手くいってくれ…ッ!!
うまい具合に距離を保ちながらなんとか浜辺まで来た
奴らの船の先が少しだけ見える
ポイントはそろそろか…っ、
シュンッー
『しまった!』
交わしたと思ったナイフが、死角から飛んで来た
なんとか体を捻って避けようとしたが、右腕を掠ってしまった
『ぐっ、、』
毒の回りが速すぎる…っ、、
思わず膝をついてしまう
「准尉!」
『っ…、、くそっ、先に行け!』
剣を砂浜に突き刺し、立ち上がる。
(しまった…よりによって利き腕)
「ヒヒッ…どっから削いで欲しい??」
徐々に近づく奴を見定める。
(ポイントまであと少しだっていうのに…っ、くそっ!)
剣を捨てて、短剣を取り出す。
長剣は重いが、リーチが長くてジャックには相性がよかったんだが…
接近戦しか、残された道はない…
やつが最も得意とするところだ
『やるしか、ないか』
そう呟いて砂を蹴る。
柔らかい砂浜では、なかなかに動きにくい
だが、それはやつも同じ!
首めがけて真一文字に切る
「おっとぉ、」
しかし、奴は後に体をそらして上手く避ける。
『ちっ』
短剣は奴の胸部を掠めただけで、狙った首元には届かなかった。
「今度はこっちの番だぜぇ?」
右、左、上、下っ、
バク転しながら避けていく
あわよくば蹴りが当たればいい
(このまま下がりながら、行ける…っ)
「避けばっかじゃあ、俺は殺れないぜぇ?」
『いいんだよっ、殺んなくたって』
カチッ
奴の足元で確かに聞こえた、スイッチの音
きた!
ドッカーンッ!!