第2章 名前
班を分けたところで作戦開始。
もちろん私は陽動班にいる。
私の班からは私とガシュトル、Jが陽動へ。ナナハはサポート、ニックは連絡班へとそれぞれ散った。
まず、ニックたちは先程応戦した岩陰へ連絡班を配置
そこから船までの中継地点に私たちがいる。
『……どうだ』
「20メートル先に姿を確認。」
船までは海と崖に挟まれた砂浜の一本道のみ。私達は崖の上の茂みから飛び降りることも、並走移動することも可能……
『よし、陽動班は奴の正面に3人、サポート含め後に10人。正面に私と、あと二人。足に自信のあるやつがこい』
C班から足の速い二人を選出し、各班に連絡。
『よし、行くぞ』
私の合図で全員が作戦を開始する
私達は5mほどある崖から、奴が歩いている道へ飛び降りる。
丁度出っ張った崖で、下に降りるとそのカーブの大きさがよく分かる。あちらからは私たちが突然現れたように見えるだろう。
カーブの端から細身の体が見えて、冷たい殺気を感じる
………来た
「おやおや、また会えたねぇ…ケケケッ」
笑っているものの、表情は殺意しか浮かんでいない
『…ギリギリまで、引きつける』
二人は頷くと、いつでも走り出せるよう構えた
『…本当によく会うな。出来ればもう一生会いたくないんだが』
「そう連れないこと言うなよ」
一歩一歩が心音と重なって、心拍数が二重に聞こえる…
これが実践の緊張状態…っ、
私の選択ミスで仲間が死ぬ……
これが命を預かるということか
「3人、か…少し物足りないモンだなぁ」
『そう言うな。私はドストライクなんだろう?』
あと、3歩
「まぁ、ね」
あと2歩…
ズサッ!!
まずいっ、踏み出した!
『走れっ!!』
二人は私の言葉に即座に反応し、地面を蹴る
それと同時に剣を抜いて、標準を定める
今、飛んできているのは20〜30センチのナイフ、3本
大丈夫、捌ける
キィン、カッ、キンッ
まるでスローモーションのようなコンマ何秒間
そして時は動き出した
「切り刻んでやらぁっー!」
奴が叫んだ頃には、サポート含む陽動2班の合流ポイントまで来ていた
奴も走って追いかけてくる
その間投げられたものをうまく交わしながら走る